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2018年11月30日

MOILの諸々「区切り方」

「千葉県市原市の地層を約77万~12万6,000年前の地質年代の基準地とし、年代名を「チバニアン」(千葉時代)とする」案が国際学会の二次審査を突破したそうですね。この時代が一つの区切りとなる理由は、77万年前から始まった至近の地磁気逆転の痕跡が地層に残っている期間だからだとか。素人目には連続して見える年代も様々な見方で区切ることができるのですね。
自然を区切る、というのは存外ややこしく、例えば生物の「種」というのも考えてみると厄介だったりします。最も一般的な考え方は「交配してできた子供が生殖能力を備えていればそれは同じ種」というものです。犬は品種によってかなり姿が違いますが、交配してできた雑種は子供を残すことができるので両親は同じ種である、と判断されます。一方、ロバとウマを掛け合わせてできるラバという家畜は子供を残すことができません。なのでこの場合、ラバという子供ができたとしても両親のロバとウマは同じ種ではない、と判断されます。
ここまではいいのですが、生物の厄介なところは様々な例外の存在です。例えば羽の模様で同じ種を見分けて交尾している蝶をイメージしてみてください。さらに、この蝶の仲間は昔は山地に住んでいましたが、海面上昇に伴ってその生息地がいくつかの島になってしまい、それぞれの島で模様がだんだん変化していったと仮定します。この場合、別の島に住む蝶同士を会わせても交尾せず、子供は出来ません。しかし、人工的に受精させて作った子供は生殖能力を備えているということはあり得ます。人工授精までしなくても少し羽の模様に手を加えれば交配が起こるかもしれません。自然にしておくと交配はしないが、子供を作るまで行けばその子供は生殖能力を備えている。さて、この場合の両親は同じ種でしょうか?
さらに面倒な例を出します。西からA、B、Cの順で隣接する地域に分布している生物をイメージします。この生物は先ほどの蝶と同じように模様で交配相手を決めるとし、さらにこの模様には地域差があるとします。これで地域Aに住むものとBに住むもの、もしくはBとCならば自然交配すると考えます。しかし隣接していないA、Cに住むものを会わせた場合は交配しない場合、Aに住むものとCに住むものは同じ種でしょうか?双方ともBとは同じ種だといえるのにもし違う種となると何とも違和感ですね。
そしてここまで交配を生殖の前提にしてきましたが、藻をはじめとする単細胞の、分裂で増える生物には、この交配を基礎とする種の概念はもちろん適用できません。
何となく当たり前にとらえている「種」というものも捉えなおすとここまで面倒なのですから、地質時代の区分を決める、というのは大変なんだろうな、というのは想像に難くありません。普段何気なくとらえている事にも、それを基礎づけた方々の苦労が実は詰まっている、ということは多々あるのだろうな、と思います。


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